2016年5月15日日曜日

日記 20160515 ルーツ



過去に描いている作品が多様ゆえか、読者の方にはよく「同じ作者だと気づかなかった」と言っていただくことが多いです。

そういうとき僕はちょっと「しめしめ」と思っております。
いやらしくてごめんなさい。
ただ、いろんな漫画を描きこなしているつもりでも、基本的なコマ運びやカメラワーク、キャラの演出はそんなに変えることができてないので、僕からみると同じ作者なのですが、題材や線の描き方でけっこう印象は変えられるものだなと。
僕がそもそも漫画の描き方を覚えたのは、小学生のときで、最も参考にみていたのは石ノ森章太郎先生監修の「まんが入門大百科」でした。ペンや定規の使い方、カケアミの仕方、トーンワーク、カラー画材の使い方、老若男女の描き分け方、パースの基本理論など、穴の開くほど読んだような気がします。今考えても小学校6年生が手にする参考書としては偏りもなく充実した内容だったように思います。
しばしば友達に作風が古くさいとか言われる僕ですが(笑)たぶん、ルーツがそういうところにあることも理由のひとつですかね?古典的ですが、スタンダードだとは今でも思ってます。
それで、石ノ森章太郎先生といえば、言わずと知れた漫画の大家であり、漫画の始祖というか神様の一人ですが、作風がとにかく多様で、児童向けギャグ、少女マンガ、劇画調、ヒーローものなどなど、凄まじい数、量を描き分けられていた方です。その時代の漫画家さんは皆さんそうではありますが、特に石ノ森先生は多様な方ではないかと思います。「まんが入門大百科」はそういうベースの上で描き方が解説されている本なので、僕は子供心に「漫画家というものはあらゆるジャンルを描き分けられなければいけないんだ!」と思いまして、子供ながらそういう意識でいろんなジャンルの漫画を読んだり真似して描いたりしてきましたし、それゆえに今のスタイルに至っているのだろう…と、思い返せばそんなルーツがあったりします。
漫画家というものは「描きたいものだけを描いている」という印象があると思いますが、確かにそういうスタイルの漫画家さんも多いですが、僕自身は漫画家を自分の仕事とした時にそれだけでは物足りなく、「自分でも思いもよらないお題を与えられたときに、どう応えるか」というところに職人魂を刺激される部分があって、トライしてみたくなるのです。もちろん自分で自分に対してそういうふうにお題を設定したりもします。そうやって漫画を描き、初めて雑誌に掲載されてから15年。その積み重ね…の結果が今。今まさに進行形ですが…まぁ結果として「何が描きたいかわからない作家」とか言われることもあったりする現在ですが(笑)「何が描きたいか」ではなく、「ネタは何でもいいからそれをどう描くか」でやってますからね。自分なりにデビュー時から一貫していることもあるので(野暮なので詳しく言葉にはしませんが)、もっともっとこれから漫画家として走り抜いたあと過去を振り返ったときに、そういう線が…そうですねぇ、なにか太い線が1本、ドーンと浮かんでみえてくるといいなぁ…とそんなことを思ってやっています。